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マルホランド・ドライブ

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デイヴィッド・リンチの映画といえば『インランド・エンパイア』が記憶に新しいですが、今回はその前作『マルホランド・ドライブ』(2001)についてです。この映画は第54回カンヌ国際映画祭・監督賞受賞作品。一回観ただけではストーリーを完全に消化し切れない、ミステリアスな映画です。観れば観るほど新たに気づくことがあるような気がして、決して見飽きることがありません。

どのシーンがお気に入りというのはないですが、リアルな怖さを含んだシーンや台詞はあります。たとえば、謎の人物「カウボーイ」が登場する場面。…と、その前に「カウボーイ」が出てくる経緯はこうです。

若手の新進映画監督アダムは、新作の出資者に指定の主演女優を起用するよう圧力を受けます。しかし、アダムはあくまでも公平な手段(オーディション)で選ぶと主張し、これをきっぱりと突っぱねます。その結果、彼は何者かにより預金口座を凍結され、破産。自宅にも帰れず安ホテルに潜伏する中、アダムは映画プロダクションの秘書から「カウボーイ」を尋ねるようにとの伝言を受けます。その「カウボーイ」が一連の問題に関与していると考えたアダムは言われた通りにその「カウボーイ」に面会するのですが…。
そこでこんな台詞が出てきます。

カウボーイ:Man's attitude goes some ways…the ways his life would be.(人の態度は-ある程度その人間の人生を左右する)

そう思わないか?
と「カウボーイ」に聞かれ、一刻も早く最悪の状況から脱出したいアダムは「そうだね」と適当に答えて本題に入ろうとします。
しかし、「カウボーイ」は彼の心の内を読み、よく考えて答えろと忠告します。
自分の人生がどうなってもいいのか。
馬車(運命)の手綱は私が握っている。そういう生意気な態度を改めるのなら、馬車に乗せてやろう。
どうせ明日、オーディションで主演女優の選び直しをするんだろう。
その時、今日推薦された女性が出てきたら「この子だ」と言うんだ。
分かったね。

そしてさらに、最後の台詞がこわい。

You will see me one more time if you do good.
You will see me two more times if you do bad.
Good night.

うまくやれば君はもう1回、私に会う。
間違えたらもう2回会うことになる。
おやすみ

「カウボーイ」はここで闇の中へと消えます。
これは何を意味するのか。
向こうの命令にしたがうか、それとも、無視するか。
無視したら、アダムはどうなるのか。

会う回数の意味には色々な解釈があるようですが、おそろしい…。
by ppompie | 2009-02-17 18:40 | 映画


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